中古車の買取

中古車買取という業態は、いまではすっかりメジャーとなりました。それまでは、乗っていた車を手放す際、新しく車を買うお店で下取りしてもらうのが一般的でした。

新しい車を買うのではなく、単に手放すだけというような場合には、恐る恐るディーラーに車を乗り入れて、満面の笑みで出迎えてくれた営業マンに対して顔をひきつらせながら、「新車を買いに来たんじゃないんです」と謝ってみたり、ロードサイドにある老舗の中古車販売店に出向いて、タバコの煙が立ち込めた店内にいる怖そうな風体の店員さんに向かって「す、すみません、この車を買ってほしいんですけど、いくらになりますか？」とぎこちなく聞いてみたりした経験をお持ちの中高年ドライバーの皆様もいらっしゃるのではないでしょうか？

かつて、中古車の値付けというと、減価償却ベースのものが幅を利かせており、いわゆる赤本（レッドブック）に載っている低めの価格を基準に、安全を見越してさらに低い値付けをするのが一般的でした。

この赤本は一般向けには販売されていない業者向け専用本であり、その中に載っている価格がいかほどなのか、ユーザーには知る由もありません。

また、インターネットが本格普及していない90年代後半までは、いくらで下取りしてくれたというような情報を交換できる掲示板的なものといえば、新車雑誌の売却体験談記事ぐらいしかなく、これとてサンプルの絶対数の少なさゆえ、信ぴょう性に疑問符をつけざるを得ないものもありました。

また、価格の目安としては、自動車雑誌の巻末に掲載されている「売りたい・買いたい」コーナーの掲載価格を参考にするという手法もありましたが、売却希望者の自信過剰すぎる高値と、購入希望者の浮世離れした安値を見てよく苦笑したものです。

とりわけ、当時は多くのユーザーにとって、中古車を売るという行為が、「え〜、これっぽちなの？」という落胆を伴う行為であり、どうしても売却してしまう必要のあるような状態でもない限り、あまり経験したくない出来事ですらありました。

その後、中古車情報誌の創刊やそれらのインターネット版の立ち上げによって、ユーザー向けの小売価格を調べることが容易になりました。

中古車販売業者やユーザーが買取価格を皮算用する目安として、店頭小売価格を参考に業者のマージン相当分を大まかに差し引いて逆算してみるという方法が用いられたものですし、現在でもこの方法を用いて予想買取価格を算出してみることは可能です。

ただ、現在では、全国の中古車オークション会場の落札データを網羅した落札価格検索システムが業者向けに販売されているほか、いきつけのオークション会場の過去の落札価格を手軽に検索したり、インターネット経由の入札システムに内蔵された過去の取引価格を検索する機能を利用したりすることで、業者であれば小売価格のみならず卸売流通相場を簡単に知ることができるようになっています。

このように、中古車業界は時代とともに進化を続けており、買い取る側の業者もかつてのように赤本や中古車雑誌をもとにしたようなアバウトな値付けではなく、最新の卸売相場を参考にした高精度な値付けに完全に移行しています。

また、買い取ってもらう店舗に関しても、現在では販売をメインとする小売店舗だけでなく、中古車買い取りを専門としている業者も多数存在しているほか、ウェブサイトからわずかな項目を入力するだけで査定の依頼が複数の業者に一括で行えて、さらに愛車を運転して店舗を何軒もハシゴしたりせずとも、希望の日時に出張査定に来てもらえるなど、ユーザーにとって中古車買取はまさに至れり尽くせりの状態となっています。

肝心の値付けに関しても、前述したように最新の卸売相場を参考にしていることから、高値提示が期待できます。

ただ、参考にする卸売相場自体は各社とも大差がないものの、利幅や安全マージンをどの程度盛り込んで値付けするかは買取業者によってテイストが異なりますし、他社との駆け引きに負けたくないという心理が働き、利幅が薄い状態で高値買い取りを続けている業者の場合には、たまには安く買って日頃の利益の少なさを補填したいと考えるものです。

ですから、その貧乏くじをあなたが引かずに済むように、必ず複数の買取業者に見積もり査定を依頼し、じっくりと比較検討し、場合によってはさらなる価格の上乗せを相談してから売却先を決めることを強くお勧めします！

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中古車を検討しているならできるだけ早く行動しなければすぐに売れてしまいます。

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